2018年7月3日(火)浄瑠璃寺九体阿弥陀仏、修理開始
今年から二躰ずつ修理に入ります。再び九体そろうのは五年後の予定です。
- (2018年7月3日(火) 午後11時9分57秒 更新)
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本堂から運び出される脇仏。
須弥壇から降りると意外なほど小さく感じる脇仏
浄瑠璃寺九体阿弥陀仏の修理がいよいよ始まります。最初に修理されるのは、一番左端の脇仏と右から二番目の脇仏で、今日はこの二躰が浄瑠璃寺本堂から搬出され、車で30分ほどのところにある奈良国立博物館修理室へと運ばれました。作務衣のような作業着を着た専門の作業員のみなさんが、驚くほどテキパキと作業を進め、想像していたよりもずっと早く全ての作業が完了しました。
浄瑠璃寺の場合、九体阿弥陀仏を腰ほどの高さがある供物壇の板囲いが取り囲んでいます。阿弥陀仏を本堂から搬出するにはこれを乗り越えなければならないため、事前に堂内を計測して供物壇をぴったり乗り越える台を作り、それを堂内で組み立てたようでした。事前準備あってこその順調な搬出と思います。
あの供物壇は、もしかするとある程度の長さごとに取り外せるのではないかと思っていました。しかしそうではなく端から端まで一続きの構造で、外す方が難しいとのことです。九体阿弥陀仏を供物壇の外へ出すことを全く想定していない構造になっているようです。
さて、今回最初の二躰に選ばれた一番左端の脇仏と右から二番目の脇仏ですが、予定外に修理が長引かないよう、修理に時間がかかりそうなものと、比較的保存状態の良いものがペアで選ばれているとのことです。確かに一番左側の脇仏は剥落が激しく状態が悪いように見えました。それに対して右から二番目の脇仏は、綺麗なお顔をされていたように思います。これから毎年、同じように状態の悪いものと良いもののペアで、修理に入っていくそうです。
ちなみに一番左端の脇仏は「大和古寺大観第七巻」の解説で、体躯が細身で他のものと作風が異なることから、のちに造り直されたものである可能性が指摘されています。今回の修理では、作風の違いについて新たな発見があるかもしれません。期待したいです。
本堂から出た布に包まれた脇仏は、驚くほど小さく見えました。台座の高さや後背が、本堂の中ではお姿を大きく感じさせるのでしょうか。不思議です。
堂内参拝休止のお知らせ。前日に激しい夕立に見舞われたため、万が一の天候悪化を警戒し、かなり作業を急がれたようです。お昼すぎには全ての作業が完了し、午後からは拝観が再開されました。
今日のご住職は少し緊張した面持ちで、心配そうに作業を見守っておられました。
軽トラに載せられる脇仏台座。この後バス道に面した場所に移動して、大きなトラックに載せ替えられていました。
運び出される様子を撮影していた作業員さんの手には、作業工程を記したカードが。
本堂から運び出される脇仏台座と本体の動画です。
台座を運ぶのが一番たいへんそうでした。
後背は比較的軽いのか、少人数でスタスタ運ばれていきました。
脇仏はなんとワゴン車に載せられました。これにはお寺のみなさんも驚いたようすでした。「ああ見えて引き締まってはるんです」とはご住職。本堂からの搬出が終わってホッとされたのか、今日はあまり笑顔を見せなかったご住職にも冗談を飛ばす余裕が見えました。
百年に一度の本堂
午後から拝観が再開したので、早速二躰空席の浄瑠璃寺本堂を見てきました。思っていたより歯抜けな感じはしなかったです。いらっしゃらない場所に台座の痕が見えるなど、これはこれで百年に一度の珍しい光景、ということで少し新鮮な体験でした。これが見られるのは修理中の5年だけです。どこが欠けるとどう印象変わるか、時々見に行くのも好いと思います。
夏草越しの本堂。
三重塔。
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