2015年1月20日(火)腰痛地蔵
腰痛を治してくださるというお地蔵様です。
- (2015年6月19日(金) 午前0時32分47秒 更新)
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道ばたのお堂に祀られています。
腰痛が治ったら新しい槌の子を添えてお供えする決まり
腰の痛みに悩む人は、ここにある槌の子(小槌)を持ち帰って、家で痛いところを軽く叩きながら、治るよう願うとよいそうです。腰痛が治ったら、新しい槌の子を添えてお地蔵様にお供えする決まりなのだとか。
お堂に掲げられた説明文。毎年七月にお祭りがあるようです。
たくさんの槌の子に囲まれた腰痛地蔵(こしいたじぞう)。これまでにたくさんの腰痛を治されて来たのでしょう。ただ、「奈良県史 第七巻 石造美術」によると、この石像はお地蔵様ではなく蓮華座に建つ阿弥陀如来像で、作風から江戸時代中期の作と見られています(「奈良市石造遺物調査報告書 調書編」では桃山時代と推定しています)。左にあるのは、阿弥陀如来を表すキリークを刻んだ銘号碑。
奈良市教育委員会の報告書「奈良市の文化財調査中間報告〜石造物、わらべ歌、伝説」(昭和52年3月31日)に、南之庄町の伝説として次のようなお話が収録されています。
腰痛治しの地蔵さん
笠置街道にそった山すその屋形の中に石地蔵がまつられていて、その前にはいつも沢山の小槌が供えられています。その近在の人達は腰痛が起ると、この槌を頂いて帰り、それで腰をたたくと不思議と腰痛が治るので、お礼にまた新しい槌を供えるということです。このお地蔵さんを信心している人は相当広い範囲にわたっていて、毎年7月24日は町の人達が集まって盛大なお祭りをされているそうです。
昔この村に小佐氏という家に一人のおじいさんがありました。大変働きもののおじいさんでしたが、ある時ひどい腰痛が起り困っていられました。鍬を持つこともできず、歩くことも、立つことさえできないくらいでした。薬を飲んだり、もんでもらったり、やいともしてもらいましたが、一向に効き目がありません。こんなに苦しむくらいならいっそ死んでしまおうかとも思いましたが、家族のことを考えるとそんなこともできず、これも因縁とあきらめて、毎日仏さまに一身をお任せして、お祈りしていました。
ところがある夜のことです。おじいさんの枕元にきれいなお地蔵さんが現れて、
「私はお前の畑のすみに埋もれている石地蔵である。もう修行がすんだので、これから人々をお助けしたい。お前の力で掘り出してくれないか。」
と言って、姿を消してしまわれました。気がつくと夢だったのです。しかしおじいさんは今は藁をもつかむ気持ちでした。これは仏さんのお告げだとたいへん喜びました。
夜が明けるのを待ちかねて鍬を持って飛び出しましたが、はたと気がつくと、どの畑のどの辺かを聞いていなかったのです。しかしそんなことでじっとしていられません。おじいさんは近くの畑から一鍬一鍬掘り始めました。しかし一日掘ってもお地蔵さんは現れません。次の日も次の日も掘り続けました。次の畑からまた次の畑へと掘っていきました。四、五日もすると家の人たちもおじいさんの熱心さに動かされて、この仕事を手伝うようになりました。
ちょうど二十一日目のことでした。最後の畑を掘っていると「かちっ」と鍬に当たったものがありました。大きな石です。おじいさんは皆を呼びました。みんなで気をつけて掘り出してみると、それは一体の立派なお地蔵さんでありました。
家中大喜びでその日から屋形を造りにかかりました。出来上がったとき、初めておじいさんは自分の腰痛がすっかり治っているのに気がつきました。
「このお地蔵さんが腰痛を治して下さったのに違いない。お礼に私がいつも腰をたたいていたあの小槌をお供えして、他の人達の腰痛を助けていただけるようにお願いしよう。」
こう考えたおじいさんは槌を供えて永い間お祈りを捧げました。
ところが不思議なことが起りました。近所の腰痛で困っていたお婆さんが、そのお地蔵さんに参り槌を頂いて帰ってお祈りしながら腰をたたきますと、すっと治ってしまったのです。お婆さんは大喜びでお礼に新しい槌を買って来てお供えしました。
この話を伝え聞いた人たちは次から次へとお参りし、治していただくとまた新しい槌を供えました。こうして腰痛治しのお地蔵さんは近在の人々に知れわたり、多くの人たちに信仰されるようになりました。
今も毎年7月24日に町の人たちが集まって盛大なお祭りをしておられるということです。
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