奈良市と笠置町の境にある小さな神社です。
奈良市と笠置町の境の笠置町側、白砂川の北に、わずかに水が流れる谷があり、その谷を30mほど入ると、特徴的な大岩があって、その大岩の前にとても小さなお社があります。お社のある場所は、石垣が組まれ人工的に作られた平坦地となっていて、かつてはこの場所に多くの参詣者が訪れたことを窺わせます。
お社のかたわらにある石灯籠には「講中/奉献閼蘓瀧 辨財天女御寳前/寛延三年庚午年(1750)正月吉日願主友田■/(裏)南笠置中村」と刻まれています。このお社の上にある林道を「阿蘇線」といいますが、「閼蘓瀧 」は地名の「阿蘇」に因むと考えられることから、現在の漢字表記では「阿蘇滝」となりそうです。おそらく、お社の右手奥にある小さな滝が阿蘇滝なのでしょう。
背後の大岩は磐座とも思えますし、小滝のある景観には修験道の行場だった雰囲気もあります。また境界を守る塞の神(道祖神)としての信仰があったとしても不思議はありません。とても興味深い場所です。
「奉献閼蘓瀧 辨財天女御寳前/寛延三年庚午年(1750)正月吉日願主友田■」
「南笠置中村」
お社右奥の小滝。
現在水の流れはほとんどありません。上流が人工林となったことや、林道の影響で水量が減ったとも考えられます。
小滝の下に石垣が組まれ、平坦地が造成されており、往時の興隆が偲ばれます。
参道の入り口は、奈良市と笠置町の境界の笠置町側、擁壁の切れ目にあります。
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