浄瑠璃寺では大晦日の晩、一般参拝者に除夜の鐘をつかせてくれます。また年が明けると本堂で新年の法要が執り行われます。
大晦日の夜の浄瑠璃寺。
浄瑠璃寺では、23時30〜40分ごろには門が開き、23時45分ごろから除夜の鐘が始まります。浄瑠璃寺に入ったら、池を反時計回りに回ります。本堂の向こうに除夜の鐘の受付があって、そこで大きなみかんと、整理番号が書かれた「くたいじだより」をもらいます。直接鐘楼へ向かわず、三重塔に立ち寄ると、開扉された暗い塔の中に、ふだんは非公開の薬師如来像がいらっしゃいます。
浄瑠璃寺の除夜の鐘は人が来る限り続きます。整理番号「い-108」を過ぎると「ろ-1」がはじまります。はじめこそお寺の方が鐘楼脇についておられますが、そのあとは参拝者が順番に、勝手についていきます。そのため、人が多い年は、みなさん後ろの列に気圧されて、間を置かず次々と鐘をつくものですから、半鐘のようにゴンゴンゴンゴン鳴ることが…。
浄瑠璃寺の梵鐘は戦時中に供出させられ、鋳潰されてしまいました。今の梵鐘は、昭和42年(1967)に新たに鋳造されたものです。この鐘は現在も時を告げる鐘として、地域の人々に大切にされています。浄瑠璃寺の鐘は、大門仏谷や西小のあたりでも、十分大きく聴こえます。ふだんは一般の人が鐘をつくことは許されていません。
浄瑠璃寺の梵鐘は小振りでなので、あまり強くつくと鐘が傷むそうです。以前、力一杯強くつく方がいたとき、お寺の方がやさしくついてほしいとお願いしているのを見かけました。力を込めるよりも、ゆっくり間をおいて丁寧につく方がといいと思います。
浄瑠璃寺の梵鐘。
鐘をついたら、本堂右の受付へ行ってみましょう。毎年、あたたかい甘酒がふるまわれます。
おいしい甘酒。あったまります。
少し前までは、日付が変わると同時に、受付を担当している子ども達が「あ、はっぴー、にゅーいやー!」と楽しそうに叫んだものですが、最近はみんな大きくなったのか、あまり声を上げたりしなくなりました。あれはあれで、楽しかったんですけども(笑)。
0時を過ぎて少し経つと、本堂で、九体並んだ阿弥陀仏と、開扉された吉祥天女像が見守る中、新年の法要が始まります。除夜の鐘と新年の法要の間、本堂中央の扉が開けられているので、そのようすを外からも見ることができます。
本堂の前に立つと中央のひときわ大きな阿弥陀様が、静かなまなざしで私たちを見据えます。お経の声が重なりあいながら響き、とても厳粛な雰囲気です。
本堂中央の扉が開けられています。
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