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2018年1月28日(日)浄瑠璃寺三重塔の前にある石灯籠の謎

  • 三重塔前の石灯籠は、本堂と三重塔の中心を結ぶ軸線からずれています。なぜなのでしょうか。

  • (2018年1月30日(火) 午後3時19分27秒 更新)
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本堂前にある石灯籠の火袋から対岸を見ると、中島の立石と違い、三重塔前の石灯籠が軸線からやや北側にずれて置かれているのがわかります。

本堂の中心と三重塔の中心を結ぶ線

浄瑠璃寺には現在、本堂の前と三重塔の前に、一基ずつ石灯籠が置かれています。三重塔前の石灯籠には銘があって、「為法界衆生/貞治五年丙午正月十一日造立之者也/願主阿闍梨祐実」と書かれており、この石灯籠が1366年に造立されたとわかります。本堂前の灯籠も、やや出来栄えが劣るものの、ほぼ同じ形で、同じ頃に造立されたものと考えられています。

浄瑠璃寺を訪れたことのある人なら、ひょっとすると気づいたかもしれませんが、本堂前の灯籠と中島の立石は、本堂の中心と三重塔の中心を結ぶ線の上に正確に配置されています。ところが、三重塔の前の石灯籠は、若干この軸線からずれているのです。

Googleマップの航空写真で見ても三重塔の前の石灯籠だけ軸線からずれています。

三重塔の階段の上から本堂方向を撮影。やはり三重塔前の灯籠が軸線からずれていると気づきます。階段の真ん中からもやや北寄り(右)にずれています。

江戸時代には三重塔の前に石灯籠はなかった?

さて今日は、木津川市中央交流会館(いずみホール)にて、木津の文化財と緑を守る会による「木津川市ふれあい文化講座」が開かれ、そこで「浄瑠璃寺庭園の再整備について」と題した、文化庁文化財調査官の青木達司先生による講演があるとのことで、聴講してきました。

お話自体も文化財庭園の修理にまつわる裏話などが興味深く、とても面白い内容でしたが、せっかくなので講演後の質問時間に、浄瑠璃寺三重塔前の石灯籠の位置がずれているのはなぜか、何か意図があるのか、お聞きしました。

講演会のレジュメ。

質問には、青木先生ではなく、浄瑠璃寺庭園修復に関わった、木津川市文化財保護課の方が答えてくださいました。

その方のお話によると、三重塔前の石灯籠は、本堂の中心と三重塔の中心を結ぶ線の上から、確かに外れているとのこと。一方で、中島の立石は完全に軸線上にあり、また本堂側の石灯籠も、ぴったり真上ではないもののほぼ軸線上に置かれているのだそうです。どうやら中島の立石と本堂前の石灯籠については、本堂と三重塔を結ぶ軸線に合わせて、きっちりとその位置が設計されているようです。

三重塔前の石灯籠は、昭和51年から始まった修理の写真を見ると、笠石を持ち上げて作業している様子は写っているが、基壇の位置は変えておらず、石灯籠の位置がそれ以前から変えられていないのは確かとのことです。ただ、江戸時代の拾遺都名所図会(天明七年〔1787〕)では、本堂前に一基、鎮守社の前に二基、それぞれ石灯籠描かれているが、三重塔の前には石灯籠が描かれていないそうで、三重塔前の石灯籠が、いつごろ現在の位置に置かれたのか、どこから持ってきたものなのか、全くわかっていないとのことでした。

拾遺都名所図会 巻之四 前朱雀 浄瑠璃寺図絵画像。確かに三重塔の前には石灯籠が見当たりません。松が多く描かれている点も興味深いところです。青木先生によると燃料にもなることから、松が植えられることが多かったのだとか。当時の浄瑠璃寺のお庭は、今とは全く違う印象だったことでしょう。

本堂前の石灯籠は、発掘調査によって、本堂の向拝(中央で長く伸びたひさし)を取り付けた際、元の位置からやや池の方へ移動したことがわかっています。本堂前の石灯籠が本堂中心と三重塔中心を結ぶ軸線上から、わずかにずれたのは、この変更が影響している可能性もあります。

というわけで、三重塔前の石灯籠は、当初より意図して今の位置に置かれていたわけではなく、かなり後の世になって、どこかからここに移動してきたものとわかりました。

軸線からずれて置かれているのには、どういった意味があるのか、あるいはただ単に適当に置いただけなのか、はたまた当時は軸線上に木が生えていて、そこに置こうにも置けなかっただけなのか、今となっては誰にもわかりませんが、あまりピタリと揃っているのも面白みがない気がしますし、三重塔から突き出た出島のシルエットとのバランスからも、これが一番良い位置のようにも思えます。

三重塔前の石灯籠が、出島と重なりすぎず、程よいバランスとなっています。

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